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アスリートからの伝言

辛いし、痛いし、寒いし、
上達もわからない。
それでもスキーが好き。

パラリンピック冬季大会で
日本選手最多の5個のメダルを獲得。
パラアルペンスキーのエース。

パラアルペンスキー選手村岡 桃佳

2018年冬季パラリンピック大会で、日本選手最多の1大会5個(金 1/銀 2/銅 2)のメダルを獲得した村岡桃佳選手。4歳の時に病気の影響で下半身に麻痺が出て歩けなくなり、車いすでの生活となった。小学3年生の時にチェアスキーと出会い、中学2年生で競技スキーの世界へ入る。2014年ソチパラリンピック競技大会では17歳で日本代表に選出され、大回転で5位入賞。そして、平昌パラリンピックで、日本選手最多の1大会5個のメダルを獲る活躍を果たす。 今回のパラリンピックのこと、そして、アルペンスキーとどのように向き合ってきたのかについて伺った。

1種目1種目を全力で挑む

聞き手 平昌パラリンピックでの活躍、おめでとうございます!少し時間が経ちましたが、改めて振り返って、どのように受け止めていますか?

村岡 パラリンピックでは、日本人で最高のメダルの数を獲りたいとか、出た種目全て獲りたいとかひとつも思っていませんでした。もちろん「狙える種目は狙って行きたい。」「できる限り、たくさんのメダルを獲りたい。」という気持ちはありました。でも、1種目1種目全力で一番を目指して、自分が出せるだけの力を出そうと思って臨んで、結果として、全種目メダルが獲れたという感じです。
実は、今までの日本人選手のメダルの数の最多が4つだということを知らなかったんです。3種目か4種目終わったぐらいで、5種目メダルを獲ったら日本人で最多だって周囲が言っているのを聞いて「あ?そうなんだ。」と思ったくらいでした。
それでも、最後の種目の時は「全種目メダル獲得を期待されているよな。」って思いました。でも・・・正直に話すと、その時は「(メダルを)4つ獲っているんだから、もういい(十分)でしょ。」と思っている自分も、ちょっとだけいました。(笑)でもやっぱり競技をしていると、「全種目メダルを獲りたい。」っていう気持ちが湧いていたので、全力を尽くして競技に挑んでいました。

聞き手最終種目の回転で転倒したもののそこからしっかり立て直されました。転倒した時はどんな思いだったんですか?

村岡 回転は2本滑る種目なんですが、1本目を滑り終わって2番の順位でした。2本目を滑る前に、私の前に滑った選手も、その前の選手も転倒してコースアウトして行くのを見ていました。コースを下見した時も感じましたが「なかなか難しいコース状況だな。」と。 でも、「全力を尽くそう。最後に気持ち良く終わってやろう!」と思ってスタートしました。 とはいえ、コースの状況や私の気持ちもあったと思いますけど、全然、思ったように滑れなくて、最初の方で転倒してしまって・・・。その時「あっ、やっちゃった〜。これで私のパラリンピック終わった。」って思ったんです。でも、幸いにもコテンっと転んだだけで、ギリギリコースに入れる位置でした。
回転という種目はリスタートできる種目なので、「あっ、まだいける!」って思いました。転倒した瞬間は、メダルはもう無いと思いましたけど、このまま終わるのはいやだったので、順位はどうでもいいから、最後までしっかり滑り切れたらいいなと思いました。なので、その後のことは覚えていないくらい夢中で滑りました。

それまでの種目はゴールすると「わー!!」って観客の声が沸いたり、アナウンスが盛大にあったりしていたのが、その時だけは、ゴールした時にシーンとしていました。
「私、そんなに失敗した?失敗したのは分かっているけれど、そんなに!?」と思って、速報が出る掲示板を見られなかったんですよね。次の選手が滑り出すのでコースから離れようとした時に掲示板を見たら、1番のタイムでした。次の選手が最後だったので、私は1位か2位は確定だって分かったんです。
「あれ!?メダル獲った??全種目・・・獲れた・・・?」っていう気持ちで、自分でも想定外でした。転倒してそのままコースアウトするっていう選択もありましたしね。止まった位置が、たまたまそこだったから良かったですけど、もうちょっと滑り落ちてしまっていたら、コースに戻れませんでしたから。本当にいろんなことが重なって、最後の種目はメダルにつながったので、自分が一番びっくりしました。そして何より、諦めないことって、本当に大事だなっていうのを学びましたね。
平昌パラリンピックは競技日程的に、たまたま私が最初で、最後の出場だったんです。それに気づいて、私が最初にメダルを獲って日本チームが活気づいたらいいなと思っていましたし、最後は私自身の平昌の締めくくりでもあるけど、日本チームの締めくくりでもあるから、このまま終われないという気持ちもありました。