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よりよい社会への挑戦

新たな課題は指導者を育てるということ

―「すこやかキッズスポーツ塾」のはじまりと具体的な活動についてお聞かせください。

関根さん「すこやかキッズスポーツ塾」は、子どもたちに体を動かす楽しさを体験してもらい、スポーツに親しむ習慣を身につけてもらうことを目的とした体験型の無料プログラムとして2004年度にスタートしました。当初は他社も参加してのコラボ企画でしたが、2006年からはデサントが主催し、スタートから考えればもう10年以上も続けています。

山川さん具体的な活動としては、多くの児童に参加してもらえるように「1日スポーツ塾」と「学校訪問」という2タイプを実施しています。「1日スポーツ塾」は、総合体育館など大型施設で複数の種目を同時に開催する集客型スポーツイベントで、「学校訪問」は地元の自治体にご協力いただいての講師が出張する授業です。どちらも元オリンピック選手や各競技のトップアスリートが塾長を務め、レベルの高いスポーツ体験の機会を提供しています。

関根さん現在まで3万2千人近くの子どもが参加し、「楽しかった」、「スポーツが好きになった」といったコメントが寄せられています。喜んでもらっているなという実感がありますね。

関根博さん

山川さんそうですね。トップアスリートたちの指導は素晴らしいですし、何よりオーラがすごいから。子どもたちがそのオーラに魅せられて、ぐいぐいと引き込まれていくのが見ていてわかります。

今、「学校訪問」では、体操元オリンピック選手の田中光さんを講師に迎えた体操教室がメインコンテンツになっています。プログラムの中で「チャレンジすること、あきらめないこと」という講師の話を聞いた子どもたちが、今までできなかった跳び箱が跳べるようになることもよくあるんですよ。どんどん高い段に挑戦していく姿を目の前で見ているとこちらも嬉しくなりますね。授業ではどんなに頑張ってもできなかった子が、どうしてこの塾でできたのかと田中先生に聞いたことがあるのですが、こうしたイベントでは子どもたちの気持ちも高揚するのだそうです。それでできるようになるということはよくあると。イベントの重要性ってそういうところもあるなと思ったりしています。

関根さん保護者や教育現場の皆さんからも大変好評をいただいてるんですよね。最近聞いたところによると、学校の体育館には必ずマットや跳び箱が備えられているのに、ちゃんと使えてないところがあるらしいんですよ。体育の先生以外できちんとした指導ができる先生が少ないのが原因だそうです。田中先生の指導を見ることで、先生たちも「こうやって指導するんだ」ということが分かってとても喜んでいただいています。

山川さんたしかに訪問授業中も体育の先生は子どもたちの補助を率先して行っておられますが、他の先生方は、他の部分を積極的にサポートされるようなことが多いですね。

以前に田中先生が跳び箱やマット運動が何の役に立つのかというお話をされていて、私もなるほどなと思ったことがあります。最近の子どもたちは日常生活で転んだ際に、手が出ずに頭から転倒してしまうということを耳にしますが、例えば跳び箱の授業を通し、手で体を支えることを覚えたり、空中での身のこなし方を学習することで、頭からの転倒を防ぐことに繋がると。ひとつの運動にも多くの意味があることを知って欲しいとおっしゃっていました。田中先生は今、大学の教授としてもいろいろ研究されているので、先生たちも納得してお話を聞かれていましたね。

山川悦子さん

加藤さん先生たちが喜んでくださるのはいいですよね。これからは指導する人を増やしていかないと、結局私たちのこうした活動がその場だけで終わってしまうということになりかねないから。そういう面ではむしろ指導者の育成に力を入れていくことで、自然とスポーツ振興ができるのかなという気もしますね。このことはCSRトップコメントの中で当社社長の石本も話しています。

左から、山川悦子さん、加藤吉幸さん、関根博さん

関根さんそうですね。実際に教職員の方々からぜひ指導方法を教えて欲しいということでご要望をいただいています。それを受けて豊島区でそうしたイベントを開催したところです。

山川さん私も指導者向けプログラムの必要性を強く感じています。昨年学校訪問をしたところから、指導者を対象にしたプログラムもお願いしますという要望も寄せられています。現在、2020年の東京オリンピックまでの期間、オリンピック・パラリンピック教育を展開していくために、その教育実践の研究開発を行うことを趣旨に指定されたオリンピック教育推進校が全国に約600校あります。今そうした学校に通う小学生の中には未来のオリンピック選手がいるかもしれない。そういう子どもたちの芽を開かせるための一つのサポートとして、私たちも活動を通じて頑張らなくてはいけないチャンスの時なのではと思っています。

関根さんまずはトライしてみないと分からないこともたくさんありますが、こうした活動は社会も企業もお互いにメリットがないと上手くいかないことなんだと思うんです。まさにCSVですね。我々が一方的に思いこんでもなかなかそうはいかないし、とにかく、私自身も子どもたちにはスポーツの楽しさを知って欲しいという気持ちを一番強く持って活動に取り組んでいます。

加藤さん今の子どもたちはゲームが大好きじゃないですか。それを否定するつもりは一切ないし、それはあって然るべきものだと思っています。私たちはそうした中でスポーツをする機会を提供しゲームに負けない楽しさを伝えていきたい。彼らが大人になってスポーツがライフスタイルに溶け込んでいけば、社会のスポーツ環境ももっと整っていくだろうし、同時に市場も生まれて来る。そんな風に少しずつでも社会と企業が発展していけるサイクルにしていけたらいいなと思いますね。

加藤吉幸さん